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湯沢から安塚須川(猛暑の頸城の夏18)

1.コース

越後湯沢-石打-魚沼スカイライン-十日町-姿-鉢-海老-松之山-大巌寺高原-林道亀石線-林道菖蒲線-深坂峠・野々海峠往復-安塚須川 102キロ

(ルート)https://ridewithgps.com/routes/30482137

2.実施日:2018年7月15日(日)晴れ

3.実施者:単独

4.企画:FCYCLE

http://mixi.jp/view_event.pl?comm_id=6145474&id=86447582&comment_count=17

5.日記

 このコースは、高地Netで紹介されたものを下地にしている。

http://takachi.no-ip.com/cycletouring/2003/kubiki03/kbk0307271.htm

 前回訪れたときは酷い降雨に、一方今回は、酷暑に苦しめられた。しかし、夏のサイクリングは、終わってみると夏の色が濃い分強烈な印象・思い出が残るようである。いま振り返ると、猛暑の苦しみも忘れ、「走ってよかったなぁ」との美しい思い出のみが残っている。

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 越後湯沢駅の西口では、ロードの方が組立てていた(行きの新幹線でちょっとよいことがあった)。駅前広場の掃除用の水道で水筒に水を詰め、8時発。閑散期の石打の旅館街のなかを通り、左折して上りにつくと、早くも強い日差しが暑く、日陰に入るとありがたさを感じる。路上の温度計はすでに28℃を示していた。スノーシェッド延伸工事のため、日向で長い信号待ちの間でも、じっとしているのに額から汗が吹き出してくる。車の通る長いトンネルはいつも愉快でないが、今日は中がひんやりして助かる。十二峠トンネルを抜け、案内に従って魚沼スカイラインに入る。

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 トンネルまで相応に上がったから、魚沼スカイラインで上がり続けても、「もう上まで大した距離ではない」と思うと足元をすくわれる。前にそう思い込んで進んで途中でばてた覚えがあるので、今日は、慌てず・焦らず、前ミドル×後ろ26Tでゆっくり進んだ。木々に覆われるところが増え、それまでのように直射日光に苦しめられずに済むのはよいが、茂みが多くなったせいか、メマトイが、はじめ一匹、続いて二匹・三匹・・とまるで仲間に誘われたかのようにどんどん増えて、そいつらが羽音を耳のそばでさせたかと思うと顔のどこかにとまってとても五月蠅い。屹度汗の臭いに引かれるのだろうと、手袋のメッシュの部分で拭っても、熱ですぐに吹き出してきりがない。渓をはさんだ対岸に、今日初めて見る頸城らしい民家の佇まい(木造り・窓に木枠・床が高い)や、道沿いのある棚田の様子を眺めながら漕いで何度かカーブを曲ると、その先にこれから行くべき道が見える。そういうのを何度か繰り返すと、いままで閉ざされていた東側の山並みが見えるようになり、上まであともう少しであることがわかる。尾根を乗り越えたところの展望台到着は9時34分。ここに自転車を上げて魚沼の景色を楽しんだ。こうしてジオラマを望むと、魚沼丘陵の地理がどのようなことなのかよくわかる。南に上越国境の山々。谷川岳はここからは見えないようだ。東の魚沼連山は、今日は雲ひとつない晴天のだが、蒸気に霞んで山の形が朧に見えるくらい。展望所に設置してある銅版のレリーフに山の名が書かれているが、どれもこれまで聞いたことがない山名である。魚沼丘陵は、それら山々に挟まれた、田んぼと人家がある盆地であることがわかる。

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 さて、ひと心地つけて再出発。栃窪峠までほぼ下り基調。道はスカイラインらしく尾根に沿ってつけられているが、木々に遮られて思うほど眺望は効かない。だが車の来ない快適な道。自転車の進むスピードで受ける風に汗が冷えて心地よく、ところどころ夏草の生えたスキー場のリフトの佇まいを見ながら、どんどん進んだ。十日町側にも展望所があるが今日は寄らず、峠を左折して十日町に向けつづら折りを下って行く。下りきったところの集落からさらに羽根川沿いに北上、途中夏祭りの準備をしている子どもたちの姿を眺めつつ飛ばして国道に合流。いつものようにここのコンビニで休憩。行動食を購入したついでに、菓子パンと飲料でエネルギーを補給した。

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 信濃川を渡って姿。しばらく北上してから左折して東の鉢集落に向かう。確かこの辺りの電子温度計は33℃を示していた。坂はそれほどきつくはないが、お昼前の強烈な太陽の下の坂上がり。再び、額から滝のように流れ落ちる汗がぽたぽたとトップフレームに落ちる。鉢には石仏があるとの案内があり、来るたびに見ておかなくてはと思うが、あまりに暑くて、今日も寄り道する気が起らず。坂をつめて隧道を潜ってもまだ日向の上がりが続く。ついさっきコンビニで飲料を求めたのだが、途中にある水場で喉を潤した。上り下りを経て、県道427号に合流。そこで折り返し、崖につけられている道を東に進んだ。県道といっても車幅は1~1.5車線。転落防止は一定の感覚で置かれた縁石のみ。深い草が密生したすり鉢状の谷は意外に深く、ヨシキリの声が聞こえてくる。だがここは再び木蔭となってだいぶ助かる。途中にある「一里塚」の下は草がぼうぼうで、鋭い葉で半ズボンの足を少し切った。海老(かいろう)集落のなかの細道を進むうち、オーバーヒート気味でこのままだと脳の血管が切れてしまうのではないかと心配になり、途中の木蔭でしばらく休憩、地面に座っておにぎりを食べ、しばらく熱を冷ました。集落を過ぎると、道は南側に錐揉み状に落ちて方向感覚を失う。だが再び日向の上り坂となった。頸城の山里はどこも坂ばかり。坪野・五十子平(いかごだいら)まで上り、突き当りの道を南へ下る。だがせっかく下ったのに、国道353号線の分岐から松之山まで再び長い坂上がりが始まるので、堪らずここにある自販機で冷たい炭酸飲料を求めたが、再開しても熱射に炙られてペースは一向に上がらない。ここにある廃校は美術品のアトリエか何かになっていた。さっき飲んだ飲料も大汗となって額に噴き出るなか黙々と漕いで上がった。ようやく松之山の町中に入り、再び日陰の自販機で休憩。そういえば、このあたり集落が続いたがこの暑さで田んぼで仕事している人はおろか道を歩いている人もほぼ皆無であった。車さえたまに通るくらい、この猛暑のなか好き好んで外に出る人はいないようだ。ましてサイクリングしている人は他に見かけなかった。

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 日陰で、いつまでもうだうだしていたいとの欲求に抗い、思い切ってかんかん照りのなか漕ぎだした。大巌寺高原へは下から行く道と、国道三方峠の手前から行く方法とふたつあるが、国道を上がってしまったほうが、あとが楽だと知っているので看板に従わず国道を詰めた。すると、関田山脈の山裾に広がる懐の深い荒蕪な草のついた台地に連なるまで棚田が続いていた。当初の予定では大巌寺高原からさらに上の林道天水島野々海線を辿るつもりでいたが、先に行かれたTさんから、深坂峠の手前の林道が一部崩落して通行止めとの情報を得ていたので今日は断念。この道は、高度感といい山道感といい途中にある涌き水がおいしいことも含めてよい道なので、ぜひ早く修繕していただきたいものだ。なので、今日はすぐ下の林道亀石線を辿ることにした。
 しかし辿るのはよいが、ずっと下っても、日を遮るものがないなか、再び上り返しが始まりうんざりする。一直線の道の先を見ると、蜃気楼が揺蕩っていた。関田山脈の支尾根をようやく乗り越えたと思うと、「どうせこれからまた上がらなくてはいけないのだから」との願いもむなしく、またずんずん下っていった。菖蒲高原線に合流して左折、その先、大滝の見える駐車場で停めて峠上りの備えようと、楽しみにしていたチョコレートを取り出したが、サドルバッグに仕舞っていたクランチチョコボールは熱気でどろどろに溶けてしまっていたので、仕方なく袋を口でしがんで半練り状液体を口に入れた。
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意を決し、今日最後の上がりにつく。林道の坂は山肌にそってつづれとなっているので、所どころ急な箇所があるがそれ以外は8~10%くらい。だがもう足に余裕がなく、前は30Tに落とし後ろは1枚残しつつ蝸牛のように進んだ。それでもだいぶ高度を稼ぐと、さっき通った菖蒲高原の別荘地が下に見え、その先、頸城の台地が遠くまで広がっている。そう、今日は思いのほか眺望を楽しんだ一日であった。野々海峠の手前には、お地蔵さんが祭られていてこの道が古くから使われていたことがわかる。最後の急坂を詰め、峠到着は15時57分。すぐに深坂峠(みさかとうげ)に進んだが、距離はわずかなのに、熱気で頭が暑く一向に進まない。峠の手前ではとうとう押しに入り、ふらふらの体で到着したのであった(16時12分着)。

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 峠には、アイドリング状態で自動車が停められ、おじさんがカメラを出して方々を撮影していた。その横を通って、峠の碑がある高台に上がって、こちらも記念撮影を行う。深坂峠は、北側の菖蒲高原または大巌寺から上がるので、峠越しに見える景色は南側の津南ではないかと錯覚するが、よく地図を見るとそれは大巌寺方面の景色であることがわかる。そこに行く崖沿いの林道は、Tさんの情報通り通行止めのゲートが設置されてあった。自動車のおじさんは、写真撮影を終えて元来た道を戻っていった。わたしは、碑の下の日陰に寝転がって頭のオーバーヒートを冷やす。Tさんに、いま深坂峠にいる旨連絡しようとしたが、電波が弱いらしくスマホが固まって反応しない。そんな風にしばらく涼んだのはよいが、このあたり標高1000mを超えていることと、これまで熱で体力を奪われたせいか、逆に心なしか寒気を感じだした。何度目かの深坂峠に別れを告げ、元来た道を引き返す。野々海峠のブナ林と、静かな湖畔の森の影を楽しみつつ、再び野々峠を通過、さきほど苦労して上がった道をあっという間に下り、高原地帯を突っきってからトラバース気味に西に進み、スキー場の横の急坂を下りていった。安塚須川の民宿さわ到着17時過ぎ。大量に水分を補給したがほとんど小便をしない一日であった。
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ご主人に案内されて部屋に入ると、浴衣姿のTさんは寝ていらっしゃった。伺うと、今日は鎌倉のTさんと一緒に伏野峠(ぶすのとうげ)へのツアーを楽しまれたとのこと(鎌倉のTさんは日にち違いで今日帰られた)。挨拶してから、宿の近くにある「雪だるま温泉」に行き、汗を流す。ここは硫黄の効いた広い風呂場が特長、今はそれほど混雑もしていないので、体を洗ってからゆったり漬かって、熱射病気味で逆に寒気を感じる体を温めて体力の恢復を図った。長く浸ったためか、上がってから冷房の効いた室で過ごしても体はぽかぽかと温かく温泉の力は偉大だ。ここの宿の特産であるどぶろくを注文して、ふたりで晩酌しつつ、旅や自転車やその他のあれこれについて会話を楽しんだ。Tさんから、魚沼スカイラインで「オニヤンマ」が見られると聞いていたが、飛んでいたのは「ムカシトンボ」ではないかというと、それが「オニヤンマ」であり、「ムカシトンボ」は滅多に見ることができない貴重な種になっているという。その「オニヤンマ」が一番多く飛んでいたのは菖蒲高原の上あたり。彼らは悠々と優雅に飛んでいるが、のんびりしているのでダウンヒルで一匹巻き込んでしまった。ところで、Tさんが昆虫を語るときの様子は「虫愛ずる姫君」ならぬ「虫愛ずる少年おやじ」のようだ。のんびりといえば、道中、道の真ん中にアオダイショウがのんびり横たわっていたが、踏まずに回避した。同じくのんびりなムジナ(アナグマ)も見かけたな。民宿さわの古代米がおいしく、素朴な、しかし豪華なお料理の数々を楽しむうち、お腹は満腹になった。Tさんはおちょこを持って部屋に戻られたが、すでにどぶろくの瓶は空になっている。それぞれ、網戸のそばに布団を敷いて横になるうち、Tさんが星がきれいだというのも見る間もなく、俺は20時過ぎに寝てしまった。今日は宿泊者はふたりのみで、遠慮なく部屋の扉を開けて涼しい風が吹き抜けるようにして、コンクリートに囲まれた都会では味わうことのできない涼しい夏の一晩を過ごした。夜中Tさんの歯ぎしりかと思って起きると、聞こえてくるのは庭の池のガマの声か何か、その晩はひと晩中それと夏の虫の声を聞きながらとても贅沢な、静かな一夜を過ごしたのであった。夏は、夜(清少納言)。


Commented by 高地 大輔 at 2018-07-18 16:38 x
 お疲れ様でした&楽しいOFFをありがとうございました。
 かなり壮絶な行程だったんですねー。特に深坂峠の手前あたりでは、完全に熱中症だったのではないでしょうか。更に翌日の丘陵巡り、ほんとにお疲れ様でした。
 仰るようにその分風景は真夏特有の鮮やかさだったことと思います。特に深坂峠は、あれだけ暑い日なのに夏にしちゃ丘陵が見渡せて、何よりでした。

 開けた窓際の夜の涼しさも格別、贅沢な夜でした。
 ぱぱろうさんのタフさとはもう全く別次元の緩いサイクリングしかできませんが、またよろしくお願いします。
Commented by paparouh at 2018-07-18 22:25
> 高地 大輔さん
こちらこそ、楽しい企画ありがとうございました。
「壮絶な行程」は、もともと高地さんが行かれたコースを、トレースさせていただいただけです。ただ、両日とも暑かったですね。3連休は、今年のなかでも特別に暑い日であったのかもしれません。でも、雨に降られることを考えると、例年梅雨のこの季節、出かけることができただけでもありがたく思います。
網戸の近くに布団を敷いて、吹き抜ける風を受けながら一晩過ごしたことも夏のだいご味でしょうね。また機会ございましたらお願いします(次は、朝日屋旅館?)。
Commented by 高地 大輔 at 2018-07-19 14:44 x
 残念ながら朝日スーパー林道は今年は開通未定とのことです。未定ではありますが、秋も多分ダメでしょう。となると来年以降になります。
Commented by paparouh at 2018-07-19 23:12
> 高地 大輔さん
旅館朝日屋をグーグルで調べると、思った以上に遠くにあるのですね。このあたりの地理的な理解が依然わかっていませんが、いずれ訪れてみたいと思いました。来年以降でも高地さんもし都合が合えばごいっしょください。釣りキチ三平のタキタロウと聞いて、そんなストーリーがあったなあと思い出しました。でも実は矢口高雄はあまり熱心に読んでなかったのです。当時は少年チャンピオンのエコエコアザラクとかマカロニほうれんそうとか、もちろんブラックジャックとか、秋田書店全盛でしたよね。山上たつひこのこまわりくんが好きだったのでした。
by paparouh | 2018-07-17 22:52 | 新潟県上越 | Comments(4)

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by ぱぱろう
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