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5月の深坂峠・野々海峠

1.コース

十日町-津南-清津大橋-津南-さかえ倶楽部スキー場-深坂峠-平滝-野々海峠-野沢温泉村-飯山 105キロ

(ルート)https://ridewithgps.com/routes/30485127

2.実施日:2018年5月16日(木)晴れ

3.実施者:単独

4.日記

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 昨日、3度も「蛇」を見たことを書き忘れた。1度は、2匹の蛇が路上にからまっていた。また、危うくタイヤで踏んづけそうになった場面もあった(彼は、道路わきにあわててにょろにょろっ!という体で逃げていった)。蛇を見るごとに鳥肌を立てたのである。この年になっても、蛇嫌いは治らない。一生だめであろう。
 さて、前夜早く寝たので、5時には目が覚めた。7時の朝食まで、出発の荷物整理をしつつ、ネットして時間を潰す。今日は、野々海峠を越えて東頚城の棚田を見る予定。朝の定例行事を順調に済ましてから、会計。駅の向こうのほくほく線側にある駐輪場の自転車は無事であった。JR口に戻ると、いま津南行のバスが出ようとしているところ(7時39分発)。乗客は学生が主体だがそれほど混雑していない。次に機会あればこれを利用してみよう。そういう訳で、昨日来た国道を淡々と再び津南へ。通勤時間帯とあってそこそこ往来があるが、都会のように激しくない。

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 信濃川の右岸の国道をアップダウンしながら西に移動。途中で左岸に渡る。そこからの坂を上がってしばらく進んで森宮野原駅の先を右折。さかえ倶楽部スキー場を横断するじぐざぐ道を上がっていった。下にある建物は、美術館か何かのよう。閑散としたスキー場に、絶えず、ぽろりんぽろりんとオルゴールのような音が聞こえてくる。樹木のほとんどない南斜面。夏であれば暑くてたまらないであろうが、陽射しはまぶしくても春特有のやわらかさ。直射日光を浴びても、まだ額が汗ばむ程度だ。坂も、山を巻いてあがるためか、緩くはないがきつくもなく、前ロー×後ろ1枚残しつつペダルをくるくる回しながら標高を稼いだ。汗に集るメマトイが五月蠅いが、快適なヒルクライムだ。するうち、昨日出かけた、東の苗場から、鳥甲山、さらに志賀高原の山々が、斜面を上がるごとにスケールを増していった。はじめ川筋しか見えなかった景色が、河岸段丘が加わり、さらに上がると、段丘の沃野がこれら山脈まで遠く広がっていることがわかる。そんな景色の変化を楽しみながら進むうち、砂利道となったが、バラスは多くなくタイヤが空転するほどではない。上に行くほどに九十九折の幅が狭まってもうだいぶ上がったかと思ったところがスキー場の頂上のようである。夏草や兵どもの夢の跡の風情を感じつつ、前衛の山の北側を巻いてさらに上がっていった。

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 やがて道は粘土質になり、しばらく進むとバンが停められていた。そこのカーブを曲ると、下から見たときはぜんぜんそんな感じではなかったのに、なんと、これから進むべき道は雪に埋もれていた。せっかくここまで上がったのに、ここで撤退するのは勿体ないので、雪道の上を自転車を連れてしばらく進んだ。しかし春の気温で重たくなった雪がタイヤと泥除けの間に挟まってタイヤが回転せず、仕方なく引きずるようにして進んだ。すると、むこうからバンの主らしい人ふたりこちらを見て笑いながら近づいてきた。役場か管理の人か知らぬか、どこまで行くのかとの問いに「深坂峠まで」と答えると、「道はここから峠の下までずっと雪で埋まっていますよ」と教えてくださった。彼らにお礼をいったあと、どうしようかと思案したが、いったん自転車をデポしていく先を偵察してみた。するとまだ峠には相応の距離がありそうなことがわかった。しかもずっと雪に埋まっている。さすればと、自転車に戻って施錠をして、サドルバッグとボトルを持って、徒歩で行くことに決めた。

 思わぬ、春の雪歩きとなったが、雪はしまっていて、ツボ足でも苦労することはなかった。空は青空。ブナ林に小鳥たちの囀り。スパッツもシューズカバーもなく、短靴なので、水がなかまで沁みてくるのを少し我慢すれば、楽しい山歩きだ。雪は、峠に近づくごとにたっぷりとなり、沢も埋もれている。心配なのはクマとの遭遇だが、そのような獣の足跡は見つからない。それでもときどき「わぁ」とか「えいっ」とか叫びながら進んだ。ざくっ、ざくっという音をさせながらだいぶ上がると、やがて平坦に進むようになり、唐突に除雪した林道に合流。根雪と道の段差を飛び降りて、両側が雪の壁になった道をしばらく進む。野々海湖は、凍っているというよりも、雪で埋もれたように見える。深坂峠へも、除雪されておらず、再び雪の上を歩く。だだっ広い斜面を横切って(きっとこの雪の下は森なのであろう)、少し北に進む。思い当たる場所に到着したものの、峠の名を印した石碑が見当たらず少し迷った。よく見ると、雪の中から頭だけ出していてそこが峠であることを理解した。峠到着12時10分。例によって、大厳寺高原より先、日本海まで広がる東頸城の大展望をしばらく楽しんでから、石碑のてっぺんに腰かけておむすびふたつ食べてしばらく寛いだのであった。天水越の林道も、完全に雪に覆われて、そこに道があるとは到底思えない。

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 (上は、2016年10月末訪問時の深坂峠)

 そんな風で、元来た道を戻った。帰りは、野々海湖まで戻らず、ショートカットして雪に埋まった沢筋の斜面を下った。すると斜面の上からカモシカがじっとこちらを見ていた。このまま沢を下るといけないので、キリをつけてカモシカのいた急斜面をあがる。ピッケルはないが、雪はしまっているので、つま先を斜面に突き刺してステップを刻むと、塞がっている手を使わなくても上がることができた。そこから林道までの急斜面は、ケツが濡れてしまうからと尻ゼードにならぬよう慎重に降りて、合流した。若い緑の木立の向こうに、鳥甲山か志賀高原かの雪山が顔を覗かせている。そんな風にして、再び鳥の声を聞きながら人気のまったくない道をデポ地に戻った。
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 乗れるところまで、雪の上を自転車を引いてから、朝来たダート道を降りていった。やがて舗装が復活したので、スキー場斜面を一気に下まで駆け降りる。国道に降りてから、まあ穏当に飯山から帰宅するかと決めて、国道を西に進んだ。するうち、平滝駅まで移動したところで、野々海キャンプ場まで十数キロとある看板が。いったん通り過ぎたものの、「道は除雪していたよな、10キロであれば上まで1時間ちょいで到達するし、そこから新潟まで長いダウンヒルを楽しんでほくほく線で帰るのも悪くないな」との考えが浮かんで、踵を返したのであった。せっかく長野に来たのに、深坂峠だけだと勿体ない気もするし。

 こちらの道も最初はじぐざぐ上りが続いた。2度目のヒルクライムとあって、ロー×ローに落として亀のように進む。しかしこの程度の坂でこの低トルクであればまだ余裕であがることができる。途中でボトルの水がほぼ空であることを思い出したが、上に行けば随所に水を摂れると踏んで上がり続けた。坂の途中で一度休憩。そういえばバッグのなかに黒砂糖を仕込んでいたことを思い出して、取り出して口に入れた。再開して進むと上から車が。すれ違い様停まって、栄村のバンの若い職員が運転席から「ここは通行止めですよ。戻ってください」といわれた。二言三言会話してから「せっかくここまで来たので上ったら戻りますから」というと、「除雪車が来ますので注意してください」といって下さった。

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 やがて道の両側に残雪が目立つようになり、上がるに連れてそれが雪の壁となった。あたりは雪の冷気でひんやりしている。九十九折りが終り、沢沿いの道が、北の方角に進むようになると、ブナ林となり、傾斜も緩くなった。楽しく上がってさして苦労することなく進んでいくと、お話しのとおりタイヤチェーンの音をさせながら除雪車が降りてきた。目線を合わせぬよう自転車を道端に除けたところ、何もいわずに行ってしまってほっとする。実はそのあとも、役場か作業者かのバンとトラックに遭遇したが、強制帰還を命じられることはなかった。しかし、除雪してあると思っていた道は、野々海湖を離れるにつれて圧搾しただけの状態となり、峠近くとなって深坂峠同様雪に埋もれた状態に。再び自転車を引きずって移動。ここも、峠であることを示す道標が設置してあるはずだが、見つからず、地理と高さの感じからここが峠と踏んで、記念撮影。考えてみると、南側の斜面でさえこんな感じだから、北の菖蒲高原線が開通しているはずもないということだろう。実際峠から向こうを覗いてみると、さらに大量の雪で道が閉ざされていることが感じられた。

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 そういう訳で、再び撤退。除雪してあるところまで自転車を引きずってから、ウォッシュボードで効かないブレーキにしばらく往生しつつ、下るにつれて生温かくなる気温を感じつつ国道まで戻った。今後こそおとなしく西に向かう。途中の自販機でスポーツドリンクで喉を潤した。飯山駅までずっと国道を辿ったが、アップダウンで幅広な味わいの少ないここよりも対岸の飯山線沿いのほうを進んだほうがよかったと、帰宅して地図を確認して思った。飯山駅到着17時35分。18時09分のはくたかは、自由席はがらがらであったが、次の長野駅で満席。隣に座ったサラリーマンは俺の足の臭さに閉口したのでは。大宮着19時過ぎと早いが、そこから渋谷の長いホーム移動を含め、混雑する田園都市線に苦労しながら、はるばる長津田まで帰ったのであった。
 今日は、期せずして、栄村から野々海湖に2回アプローチした。平滝駅からの道がずっと舗装路なので上がるのは楽だが、スキー場からの方が、景色もよいし地道に変わってからの緑も旺盛でより楽しいように思われる。ただ真夏は暑いかな。ということで、当初楽しみにしていたこの時期の頸城の棚田を見ることはできなかったが、秋山郷・中津川に、関田山脈とスケールの大きな自然と景観を楽しむことができたので、満足である。


Commented by INTER8 at 2019-05-22 12:48 x
こんにちは。
少しの雪道で押し歩いて峠を越えられると良かったですね。この季節に1,000m付近で雪だと、サイクリングのコース選びが限定されてしまいますね。
越えようとしていた峠は方角的に先日ぶとぼそ氏と眺めていた峰々のようです。
http://bit.ly/2Vk1Dy6
Commented by paparouh at 2019-05-22 21:16
> INTER8さん
こんばんは。少々酔っぱらって失礼します。リンクの写真を拝見すると、新潟側から見ると、上の山に雪がついているのが明らかですよね。ところが、長野県側から関田山脈を見ても、「雪なんてぜんぜんないじゃん」という感じでした。しかし南側から上がっても、この時期だとまだ上部に大量の雪が残っていることがよくわかりました。本当は自転車といっしょに越えたかったのですが、3キロのほどの雪道を重いランドナーを連れて超えるのは無理でした。頚城の棚田はまた夏にでも訪れたいなと思っています。
Commented by ぶとぼそ at 2019-05-22 22:11 x
おつかれさまでした。
生活道でない路は除雪も進まずまだ雪に埋もれたままですね。
私たちがいった地域は高くても600mでしたから問題なかったですが、それ以上では覚悟が必要なのは山並みを見て感じていました。
栄村、これでも近年は積雪は半減したと聞いてます。私の母や親戚たちはこんな凄い所で生活していたんだと改めて思いましたよ。
Commented by paparouh at 2019-05-23 21:33
> ぶとぼそさん
こんばんは。信越を隔てる山々は、8さんの写真の新潟県側から見ると、上の方は雪ばかりのようですが、津南・栄村から見た感じは、ぜんぜんそんな雰囲気がありませんでした。なので、容易に峠越えができると思って進みましたが、たっぷりといった感じの雪に阻まれてしまいました。
栄村は、千曲川の河岸段丘に広がる明るい感じの村でした。ネットで見ると、東日本大震災と同時期に大きな地震があって相当の被害を受けたようですね。復興が進んだせいか、そのような災害があったことは感じませんでした。このような美し村と自然が末長く引き継がれることを祈るばかりです。
by paparouh | 2019-05-22 06:26 | 長野県北部 | Comments(4)

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