和田峠・巌道峠・大川原天神峠
2021年 11月 18日
1.コース
自宅-上案下-和田峠-藤野-名倉-日向-奥牧野-秋山-安寺沢-巌道峠-青根-大川原天神峠-綱子-伏馬田-青野原-三ケ木-城山-町田街道-自宅 125キロ
(ルート)https://connect.garmin.com/modern/activity/7832030176
2.実施日:2021年11月17日(水)曇りのち晴れ
3.実施者:単独
4.日記

先週末は、大阪の実家を訪れたのでした。コロナ禍のため、ずっと行けなかったのですが、久しぶりに親の顔を見て、まあ元気そうにしてくれているのを見て少し安心しました。また、先々のことについても、いろいろと話しができてよかったです。
それで、ついでではないのですが、いま乗っているランドナーを買った交野のショップをはじめて訪れてみて、店主の辻林さんにもお会いしました。
ショップブランドの自転車の製造は、営業時間終了後、滋賀県の工房に移動して行っておられたのだが、コロナウイルスの感染拡大と、年齢を重ねても無理を続けることに対するご家族の反対があって、いったん取り扱いをやめる決断をされたのですが、そのことをホームページで発表すると、いろいろなところから「ぜひ続けてほしい」との声がたくさん寄せられたとのこと。その声にこたえて、以前のようなペースではないが、再開することにしたとのこと。
お店には、シルバーのメタリックのカンパのパーツを搭載したスポルティーフが展示されていました。このクルマは、各種の特別な工作を施した仕様とのことで、思い入れも強く、いつか店をたたむ時点で売れなかったら、自身の自転車にしたいとおっしゃっておられました。

そんなこんなお話を伺って、許可をいただいて店内の写真を撮らせていただいたあと、できれば用品のひとつでも買い求めたらよかったのですが、適当な品がみつからず、油を売っただけで出てしまった。本所の泥除けなども、各種在庫があるとのことで、次回だめになったらお願いすることにいたしましょう。
その帰り道、むかし通った中学校(いまは廃校となっていて、市の施設か何かになっている)の田んぼのなかの通学路を歩いてみました。すると、だしぬけに、歩道から下の田んぼに、ふざけて女子生徒を突き落としてしまった記憶がよみがえりました。そのとき、その生徒の連れが「顔に傷がついたら責任をとってもらわないといけない」と非難したのですが、これは困ったことになったと思ったことを覚えています。それは、ありていにいうと、ぜんぜんタイプじゃなかったからなのでした。その後、どう始末をつけたのかについては、さっぱり忘れてしまいましたが、申しわけないことをしたなあ、われながらたいへん素行不良なことであったなあと、遥かむかしのことを思い出したのでした。

さて、今日11月17日は指定休日をとったので、何処に出かけようか迷ったのですが、お天気に恵まれるようなので、山の紅葉の名残を精々楽しもうと、近場にしたのでした。いつものコースであっても多少の変化をつけてみたいと、ご近所にお住まいのINTER8さんが行かれたコースも参考にさせていただきました。自宅発7時30分。
「いつものコースに変化をつけて」といいつつ、とりあえず和田峠に向かうのはもう儀式のようになっています。通勤時間帯のせいか、土日と違って混雑している町田街道のときおり渋滞している車列を除けながら漕ぎながら、途中のケルビムのショー・ウインドウを覗くと、おしゃれな意匠を凝らした泥除けをつけたロードが展示しています。あれが、噂のオール・ロードという車種なのでしょうか。でも、それよりも、店内の壁に、トラディショナルなツーリング自転車が飾られているのに魅かれます。近々、この店も覗いてみて、いろいろと意見を伺いてみようかと思いつつ、北上した。
途中のコンビニ休憩・行動食買い出しをはさんで、陣馬街道に向けてハンドルを左に切ります。ここは、山際に近づくにつれて、あたりの風景が鄙びいてくるところが気に入っています。鱒釣り場の木に、黄色いゆずがもう鈴なりについていて、郵便局の手前のお宮さんの入口のところで、そのゆずが袋詰めで販売されているのを見て、季節の移ろいは早いことだなあと思いました。



平日で、林道工事しているといけないからと、醍醐川を渡って、上案下のバス停に向かいました。ここまでも、ところどころ紅葉の木や、黄葉した葉っぱがかもしだす風情を楽しみながら漕いでいきます。
それで、おそば屋さんの三叉路を出てから、いつものように30分ほどで上に到着(10時56分)したのですが、通い慣れすぎてしまったせいか、「ヒルクライム」という感じはまったくありません。それは、どの箇所がどんな勾配具合で、その次はどんな塩梅か、そしてそれをこなすためには、どんな漕ぎ方をしたらよいかということをもう体で覚えてしまっているから、です。そんな山上りの最中はとくに息も切らすことはなく、好きな歌を口ずさんでみたり、あるいはちょっと考えごとをしながら漕いだのでした。すると、自ずと峠まであと600mの標識があらわれましたので、そこのカーブを曲がってから、段を2段上げて、残りの距離をたち漕ぎを交えつつ、詰めたのでした。





平日でも、峠の茶屋は開いていました。でも利用している方はそう多くないようだが、多くの収入源は、駐車料金の徴収にあるかのように見受けます。俺もたまには飲み物でも買って利用しようかなと思う間もなく、すぐに向こう側へ下りはじめてしまいました。そして、森のなかを抜けたところの富士見台で停まりましたが、今日は晴れていてもあいにく富士の姿は見えません。しかし、山と山の間の先にずっと遠くまで見える景色と澄んだ空気を堪能することができました。このあたりは植林の山なので名所のような紅葉はありませんが、それでも黄色やところどころ赤い色の森になっていて、もう秋が深まったことを実感させます。
途中で、くらご峠に向かう山の辺の道に入ろうかと思いましたが、やめました。というのも、今日、巌道峠に向かうのに、いつもと違う初めてのコースをたどることが楽しみであったから。


それで、沢井を経て、藤野駅に向かう隧道を潜ってから国道に合流して、すぐに日連大橋に向けて右折しました。橋の中ほどで停まって、歩道橋でしばらく、湖畔から見る紅葉を楽しんだり、その先の秋川橋を過ぎたところにある公園のイチョウの木が美しく黄葉している様を楽しみつつ、先に進みました。


一度、アップ&ダウンをしてから名倉に入って、左折して、アートな行路を漕ぎ上がると、やがて開けた集落に到達しました。ここがシュタイナー学園のある向原で、西の方角の見晴らしがよい場所に停まってその景色をフィルムに収めました。学校の運動場のイチョウも黄色く色ついていました。学校の外の畑から、学園の子どもたちの元気な声が聞こえてきます。


そんな里山の雰囲気を楽しみつつさらに集落のなかを漕いでいくと、ふたたち山の中を通るようになりました。ここを漕ぐ前は、秋山まで距離が短くてすぐに通過してしまうのだろうと思ったのですが、細かいアップダウンが続いて、案外と時間を取られます。

奥牧野からの県道かに合流してから、坂を上がって、小さな峠を越えたところで、この道がどこに連絡しているのかようやく理解しました。森を抜けた道から、ずっと先に、これから進むべき秋山の集落を望見します。上野原への境界線を越えて、道教観音のところの秋山の橋を渡り、いつも左折するところ、今日は右折して富岡の集落のなかを上がっていきました。

すると、やがて、棚田のある、広々と開けた場所に到達したので、上にあるお墓の手前のところに停めて、写真撮影をしながら人心地つけました。ここはとても気持ちのよい場所ですね。棚田のいまは、稲も刈り取られて何も植わっていない状態ですが、早苗の頃や、稔りの時期に訪ねるのもまた違った感興を催すことであろうと、次回訪問を心に誓ってから、安寺沢に向かって下り始めました。途中で、動物除けのフェンスが道幅いっぱいに据えられて施錠もされているようなので、もしかすると通行不可なのかと思いましたが、人間は鎖を外して扉を開けて通り抜けることができるようでほっとしました。


そうして、いつもの道に合流してから、郷倉、柿の木、石橋、公民館といった、この村の定番スポットの佇まいを楽しみながらゆっくり漕ぎました。心つもりでは、巌道峠でお昼をいただこうと決めて漕いだものの、存外に時間がかかってしまったので、公民館の縁側に腰かけて、向かいの渓流のせせらぎの音を聞きながら、お昼(行動食として持参したおにぎりみっつ)をいただきました。都会の喧騒や、スマートフォンとは無縁の幸せなひとときです。木造の欄干には、セミの抜け殻や、空家となったスズメバチの巣がありました。




さて、お腹もそこそこ膨れたところで、徐にサイクリングを再開しました。その先、ずっと谷筋を詰めていくと、やがて人家も尽きて、どこか趣のある薄原の広がる斜面の横を通るようになります。その向こうの山の切れ目の、鉄塔のある場所が、これから行くべき峠付近であり、随分遠くのように感じますが、実際はそれほどでもないんだと、だんだん急になる坂道をじわじわと漕いで行きました。

そうして、最後の民家の前を通りすぎ、林道にとりつく急斜面にロー×ローに落として漕いでいると、後ろのほうにひとの気配を感じました。それで、振り返って見ると、そこにいらっしゃったのはなんと、山高帽ならぬハンチング帽を被ったランブリンマンさんだったのですが、遅い山上りのペースに合わせていただくのも悪いから、「先に行ってください」というと、どんどん距離を離されて、すぐに姿が見えなくなってしまいました。
西に向かう急坂から、180度折り返すカーブのところで、勾配が緩むことを知っているので、ここからギヤを上げて、ロー30T×ロー26Tから、ミドル39T×ローに上げて、頑張ったのですが、一向に追いつく気配はないので、あきらめて、またギヤを落とさないまでもマイペースにして上がって行きました。
途中の見晴らしのよい場所に停めて、来し方の方角の重畳たる山並みの半ば黄葉した景色を少し眺めてから、峠の手前の最後の急坂を詰めて、巌道峠到着は13時40分過ぎ。


先行したランブリンマンさんは、切通しの先の少し下がった、野原林道との分岐のところで寛いでいらっしゃったので、ガードレールに立てかけてある、そのひとの「本妻」たるアップハンドルの自転車の横に俺のランドナーを停めて、しばらくの間、自転車に関することを中心におしゃべりを楽しんだのでした。最近はお忙しい日々が続いたとのことですが、今日は久しぶりにお休みが取れたので、定番の巌道峠に向かわれたとのこと。わたしも、たまたま指定休であったのだが、旅先でランブリンマンさんにお会いしたのはこれで4度目(1回目は山中湖、2回目は深城、3回目は鳥屋)ですが、まったく「奇遇」とはこのことですね。今日は早めに戻らなくてはいけない彼と、年開け5月前に、「私的伊豆下田ラン」を敢行することを約束して(でも、お住まいのところで5時出発はちょっときついかなぁ)、お別れしました。峠のテラスには、遅れて到着したオートバイカーも、憩いのひとときを楽しまれています。その人にも挨拶をしてから、道々のもみじの紅葉を楽しみつつ、久保までゆっくりと降りていきました。思っていたとおり、このあたりの紅葉は鮮やかでとてもよかったです。






さて、道志みちに合流してから、これも予定したことですが、道志川にかかるつり橋2か所(久保のつり橋と野原のつり橋)を訪れてみました。目論見では、ここから、渓谷の紅葉が鮮やかであることを期待したのですが、早くも西に傾きつつある陽光は日陰となって思ったほど映えなくて、ちょっとがっかりでした。

それで、両国橋まで降りてから、青根に上がって、すぐに左折して大川原の集落に向かいました。
集落を抜け、ゲートを越えて進むと、まったく独りの世界が展開します。以前、INTER8さんといっしょにここを訪れたとき、もみじが多く植わっていたことを覚えていて、今日はこのコースを選んでみたのですが、紅葉具合はそれほどではなかった。でも、ここは、車の往来はごく少ないらしく、路面には落ち葉が敷き詰められています。ところにより、岩屑が落ちているらしく、落葉に隠れたそれでタイヤを傷つけぬようにと、そろりそろりと、かさこそと音をたてながら緩い坂を上がっていくのも、また晩秋らしい楽しいひとときですね。



やがて切通しとなった峠に到着(15時20分)して、積もった落ち葉のなかに自転車を横倒しして、写真を撮って、一息つけてから、綱子に向かったのでした。途中で、落ち葉がブレーキにひっかかってタイヤとこすれるジーっという音を聞きながら、先に進んでいきます。平行して流れる渓谷に対するガードレールもないので、運転ミスをして落っこちないように注意を払いながら落ちていくと、やがてこちら側のゲートとなり、横のスペースを通過させていただきました。
その先、例によって綱子の古びた木造の公民館に自転車を停めて一休みしました。角の大きな民家には、若者たちが集まって何か楽しそうにしているのを目にすることが多いが、今日はその姿もなく、山里はひっそりとしています。そんな風景のなかを通りすぎて、綱子へとつながる隧道に上がってから、左折してすぐ天神隧道へ、そのあとアップ&ダウンしてから菅井の隧道を潜ってから伏馬田へと下って行ったのでした。



道志川にかかる里見橋を渡って、ふたたび道志みちに合流しましたが、今日はのんびりやるつもりでしたので、国道のバイパスを通らず、旧道を進みました。そうして、何かいいことはないかとかすかな期待を胸に漕いだのですが、結局何もよいことはありません。
でも、下り坂をだあーっと速度をあげて通りすぎるのもよいが、人々の息遣いが感じられる古い町中をゆったり漕ぐのも悪くありません。神社があります。それに村の床屋さん、万屋さん、意外と近代的な学校がある。公園もあります。お寺もある。

そうして、ようやく新しい国道に合流してから、余裕があれば韮尾根に回ってみようと思いつつ、今日は時間が押しているので、そのまま三ケ木からいつもの道を通って帰宅の途についたのでした。成瀬の山田うどん到着は18時。それまでの町田街道で2度ほど、黙ってロードに抜かれた際、そのお礼にと後ろにぴったりくっついて走行しました。和田や巌道を通ったくらいでは、脚が弱ることはありません。ランドナーは、立ち上がりは遅くても、スピードに乗ってしまえば、自重により思いのほかスピードを楽しむことができるようです。そうして、抜き返せばよいのに、抜くと今度は逃げなくてはいけないので、抜かないことにしているのです。

というわけで、秋も深まったよいお天気の一日、偶然の出会いもあり、楽しい一日を過ごすことができました。欲張って長い距離を走るのもよいが、ランドナーの特性である低速安定性を発揮させて、名所旧跡をゆったりたどるのも楽しいですね。たぶんこれで今年の紅葉めぐりは最後になることでしょう。それで、そろそろ輪行を再開して、出かけてみたい反面、すっかり早起きが苦手になってしまったので、果たしてどうなることやら。
こんばんは。確かに、おっしゃるように、随所で「天神峠」と称していると、いったい何処が正統な箇所かわからなくなるようです。まったく余談になってしまいますが、「天神」と聞けば、わたしは福岡界隈の繁華街を思い出してしまうのですが、あまりに場違いなようですね。
同じサイクリングでも、一日中、目いっぱい漕ぐのと、ある程度余裕を残して漕ぐのと、さまざまなようですが、どちらが正解ということはないと思いますので、経験を積むなかで自分なりの楽しみ方を見つけるのがよいと思います。個人的には、低速でゆっくりコースを回るパターンを重視したいと思っています。いずれ、輪行の機会が訪れたら、そんな走りを楽しみたいと思っています。
安寺沢沿いの道を登ってゆくと前方に鈍く光るガード付きの自転車がチラチラ見え、もしやと思いペースを上げ追いつくとやはりぱぱろうさん。嬉しい出会いですが強度高めに走るつもりだったので挨拶もそこそこに急登を先行させて頂く。紅葉の中落ち葉を踏みしめて峠まで休まず登り、日当たりの良い場所でくつろいでいるとぱぱろうさんが追いついてきた。
斜めに差し込む秋の日を受けながらしばしの歓談。以前行かれたツーリングルートや私の本妻や愛人の話にお付き合いして頂いてありがとうございました。
峠からは、紅葉を愛でながらゆっくり降ると言うぱぱろうさんと別れ、午後の日差しに照らされ赤や黄色に鮮やかに映える紅葉の坂道を駆け下り、道志道を飛ばして帰路に着いたのでした。
こんばんは。巌道峠へののぼり道で、一番きつい箇所をゆるゆると漕いでいると、後ろに気配を感じたので、振り返ってみて、山高帽でなくても、すぐにランブリンマンさんだとわかりました。平日にまたお会いできたのでだいぶびっくりしました。「先に行ってください」とお伝えしたところ、どんどん進んでいかれたので、もしかすると峠でもお会いできないのかと思いましたが、待ってくださってありがとうございました。お蔭で、日当たりのよい峠スポットで楽しい会話をすることができましたね。「本妻」のほかに二けたの数にのぼる「愛人」がいらっしゃるとのこと、たいへんうらやましい限りです。あやかりたい気持ちもありつつも、わたしはいまのところ「これ一筋」で行きたいと思います。といいつつ、当日覗いたケルビムのショーウインドウのオールロードにだいぶ魅かれてしまいましたが。
明日は、うまくいけば芝溝街道を走る予定です。また目撃されるかもしれませんが、そのときはよろしくお願いいたします。

