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楽しい和田峠

(1)コース

自宅-小津-力石峠-醍醐林道-和田峠-上野原-佐野川-倉子峠-和田-和田峠-上案下-醍醐街道-八王子-御殿峠-尾根緑道-自宅 112キロ

(ルート) https://connect.garmin.com/modern/activity/17330999171

(2)実施日:2024年10月20日(日)くもりのち晴れ

(3)実施者:単独

(4)チェーン交換後積算走行距離概算(ダボスオールロード):4430キロ

(5)日記

 この日は一番列車に乗って、横瀬駅まで輪行してから、御荷鉾スーパー林道に行くつもりでした。

 寝ながら、窓の外で風がびゅうびゅうと音を立てて吹いていることを、うつろに気づいていました。4時に起床して準備して玄関の扉を開けると、強い風がなかに吹き込んできます。昨日家に戻ってきた息子が起きてきて「荒天になるといってたよ、気をつけて」といいました。もちろん嫁はんは寝ています。やさしいやつです。天気予報をチェックすると、強風注意報が出ているから輪行するのはやめて二度寝に入りました。

 7時頃起きて、子の権現に向けてふたたび家を出ようとすると、雨がぽつりぽつりと降っていたため、また出るのはやめました。結局家を出たのは910分頃、行くあてもないから、いつもながらの和田峠に向かったのでした。

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 小津を抜けて、力石峠を経て醍醐街道に下る前に、夕焼け小焼けの里の景色を眺めました。多人数のロードバイクの方々が隊列を組んで進んでいるのを見て、今日は、ヒルクライムの感じの上案下よりも、醍醐林道を進んでみようと思いました。陣馬高原下バス停から厳しい坂が連続するから、うえまで早く上がることができますが、今日はガツガツ走ることはしないでサイクリングしようと、山里や雑木林のなかの林道上がりを選ぶことにしました。そうしてそのあとは上野原を経て綱子・天神峠方面に行こうと思いました。

 郵便局のT字路を直進して進んだのですが渓流沿いの道をゆったり辿ると気分もリラックスできます。道なりにあるお寺を見て、かつて訪れてもあまり情趣を感じなかったけど、またどんとの「坊さんごっこ」を思いだして歌いながら漕いでいきました。

 「頭をまるめてもう一度この世に生まれました」と、新生の気持ちをいっているのに、最後に「ごろんごろんと生きるのです」といっているのは、生まれ変わって坊さんになってもグダグダ過ごすというのははいったいどういうことなのかと思ったのですが、お寺とか坊さんとかそういっただけで、あれは近代の均一な時間と空間に対するユートピアのことをいっているのかと思いました。時間や空間が誰にとっても等質で同じであることは自明ではなく、フォーディズムのような管理され規格化された時間とは別の世界があってそちらのほうに真の自由があるんだといっていうように思いました。選挙のスローガンで、改革するというとなんとなく聞こえがよいが、労働力の移動をしやすくするとか、既成緩和とか行革とか、要は資本の自由度をあげてそのもとで個々が競争して生きていく社会(それに向けた教育の無償化とリスキリング)にしていくことを目指しているように思いました。ぼろもうけしたいやつが勝利し世を謳歌するそんな世知辛いアメリカのような国にしたいのだろうか。対して、協同と自治と分権の社会を目指そうなどと、誰もいわないようなってしまったけど、格差が広がればそれに対する不満や抗議の声がマグマのようなかたまりとなって別の未来が実現するかもしれない。だけどそのときはもう自分は生きていないことだろうなどと、そんなことを考えながら漕いでいました。

そういえば、ミーアンドボビーマギーはジャニスジョプリンの曲だと思っていたけど、オリジナルがあるとピーターバラカン氏がいっていました。歌詞で「自由というのは何も失うものをもたないことである」といっている。それは因習やふるまいや制度といったことのほかに、「坊さんごっこ」で、お寺で暮らしていくにあたって家に置いてきたというテレビや電話、いまでいうとスマホやインターネットのことだと思いました。そんなデバイスは、クソであってクソに囚われて生きている限り真の人間の自由は訪れないのだ。だがもうあと戻りすることのできない世界がつくられ、それが地球の隅々にいきわたるようになるのは、人類にとって果たして幸せなことなのだろうかと思って漕いでいきました。

山の狭間の降宿の渓谷と竹やぶが陽に照らされてきらきらと輝いています。写真を撮ったあとさら進んでいくと、無人と思われた民家の軒先からAMラジオ放送の音が聞こえてきました。きっとクマ除けなのだろうと思いました。

廃屋のたたずまいの藁葺屋根の民家の横を通って緩い坂を上がっていくと、最初のゲートとなり、その脇を通ってしばらくすすむと二番目のゲートが現れます。そこからしばらくはスギ林のなかのうす暗い道となりますが、坂の傾斜は緩く、ずっとこのままでいけばよいと思っても、だんだんと急になり、突き当りを左にカーブする直前でたぶん勾配角度15%くらいになります。

いったん曲がっても、すぐふたたび急になります。このように醍醐林道上がりの特徴は、前半から中盤にかけての勾配が急であること、だがそこを抜けてしまうと比較的穏やかな坂に変ります。この道も上案下からの道ほどではないがもう何度も通ったから、だいたいそのようなことはわかっていて、どこが急でどこがそうでないかあらかじめ知って通ると楽ですね。今日は、急な箇所もそうでないところも、終始マイペースで漕いでいけば、するすると上がっていく感じ。いつの間にか高みに来て、木々の間から向こうの山の稜線や遠くの街並みが望見されるようになります。小鳥の声はあまり聞こえないが、そうやって楽しく漕いでいくと、山のなかの林道らしく伐採の斜面となりそこを通過してあと2度ほど「警笛鳴らせ」の看板を見ると林道のピークは近い。そこに到着して不法投棄防止の無人カメラを意識しつつ、傍らで用事(小)を済ませました。

和田峠に下る道は途中でダートに変りますが、整地されたようで走りやすくなっていました。それでいつもの石碑の場所に自転車を立て替えて記念写真を撮ったあと、向こう側に下って行きました。途中の富士見台で富士が見えるかと思ったが、雲で隠れていました。つい最近交換した前輪のディスクブレーキのパッドもとくに支障なく、適度なスピードを楽しみながら下りていくと、3人か4人ほど上がってくるサイクリストとすれ違いました。その姿を見て、今日はせっかくだからもう一度和田上がりがしたいと思って、綱子に向かうのはやめることに決めました。山辺の道へは後回しにしてそのまま上沢井の三叉路までダウンヒルを楽しみました。ここの下りのワインディングも距離は短いが爽快です。

一福食堂は河岸段丘の途中の上野原駅北口にあるから、そこまで下っていくのだけど、もう一度和田に行くためにはそこを戻らなければいけないから少々面倒です。でも、今日は空気がひんやりしているからぜひ今年はじめての牡蠣をいただきたいと、面倒くさいのを押して進んでいきました。牡蠣フライ定食など一連のお料理は物価高を反映して値上げされていたけど、味はかわらず上品で美味しくいただきました。欲をいえば、あと一粒くらいあるといいけど、贅沢をいってはいけませんね。

膨れたお腹を抱えて、坂を上がっていきました。いったん上野原の街中をとおって、佐野川に出てから、倉子峠への細道を進みました。ここは和田峠よりも勾配は急ですが、距離は短いからとくにあわてる必要はありません。峠の下の民家の坂が一番急こう配だけど、今日は立ちこぎするまでもなく、淡々と踏んでいくと、何度かカーブを曲がってから峠への直登する道となり、焦らずひと足ずつ踏んでいって切通しに着きました。暖冬だからもしかしてメマトイに集られるかと思ったけど、今日はひんやりしているからさすがにそんなことはなく、落ち着いて記念写真を撮ることができました。

そのあとは、例のいつもの山辺の道。今日は時間に余裕があるから、ゆったりと漕いでいけば、山肌の民家、杉並木、丹沢の眺望、竹やぶ、竹やぶにさす陽光のきらめき、お寺の足下の家並み、落ち葉の敷き詰められた林道、古い石碑、茶畑の風景、倉のある民家などの景観が次々にあらわれるから、こちらももう何度も往還していても飽きることなく楽しむことができました。和田峠は、峠の上り下りだけでなく、このように峠の下に広がる雰囲気がそれぞれ違うところにも特徴があるようです。

八坂神社のところで車道に合流してから、昼に下った山道を上がっていきました。何度もブログに書いていますが、こちらから上がる和田峠できついところは、和田集落のうえのほう、浄水場から北東に上がる一直線の坂、それに峠直下の肩の道につながる13%急こう配の箇所ですが、今日の醍醐林道上がり同様に、傾斜の緩急にかかわらずマイペースで漕いでいけば、するすると上がってしまう感じでした。今日は往復ともそんな風で苦しく思うことなく上がれたのは、このところ飲酒しない日の日課としているエアロビで腸腰筋を伸ばすストレッチを取り入れることで、脚の可動域が広がったことが効いたのかもしれないと思いました。

今日2度目の記念写真(証拠写真)を撮ってから、陣馬高原下のバス停に向けて急こう配を下っていきます。ここは、ブレーキレバーから手を離せば、一気に速度が上がりまるですべり落ちていく様です。それをカーブの手前で制動すると、パッドを交換したばかりなのに、やっぱり前のブレーキが鳴くからもしかするとローターの問題かもしれません。

バス停にはハイカーを乗せた2台停まっていて、運転手と助手が屯しておしゃべりをしています。いつもの陣馬亭の木戸を背景に自転車の写真を撮ってから帰路につきました。行きと同じ高尾経由だとおもしろくないから、八王子・御殿峠経由、尾根緑道を通って戻りました。尾根緑道から見る相模平野というか丹沢の山並みと、足下のビル群の夕方の景色もまたなんとはなしに趣が感じられるところです。

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家へ戻ったのが18時過ぎ。息子は不在者投票を済ましてから埼玉の下宿に帰ったとのことでした。嫁さんがつくった夕食をいただきながら、息子のことや政治のことを話したあと、彼女は大河ドラマ「光る君へ」をかぶりつきで見ています。俺はドラマでも1年間見続ける根気は端からないので、部屋にこもって図書館で借りた堀川惠子「教誨師」というルポルタージュを読んだあと、ストレッチ体操をして寝床につきました。


Commented by INTER8 at 2024-10-23 08:20
おはようございます。
和田峠というお気に入りの場所があるとサイクリングの行き先に悩まずにいいですね。僕は毎回どこへ行こうか直前まで決まらないことが多いです。
大河ドラマは物語によって見たり見なかったりですが、「光る君へ」は僕も楽しみに見ています。主役の好き嫌いによるのかも。でも今回はプロ野球を見ました。家族が横浜ファンなので一緒になって応援しました。野球への興味はありませんが、応援するチームがあって、頂点へ行けるかどうかという試合は楽しめました。
前回は乗鞍でしたね。若い頃に山屋だったぱぱろうサンにとっては、北アルプスの景色を道路から眺めても感動は薄いかもしれませんね。僕はここへ上って見た景色に惹かれて山が好きになりました。
Commented by paparouh at 2024-10-23 21:53
> INTER8さん
こんばんは。8さんは気に入った場所がないといいつつも、うまくローテーションして出かけられていますよね。わたしもそうしたいのですが、思いつくところが浮かばず、結局和田峠になってしまうことが多いです。
「光る君へ」は、女性に支持されているおうだと、ランブリンマンさんがおっしゃっていました。よく観たことがないのでわかりませんが、ああいう高尚な時代劇をじっくりみせるのはさすがNHKですね。わたしは、むしろ6時30分からの水戸黄門をBSテレビでみたいのですが、その時間に帰宅できないし、7時のニュースに時間がだぶるのでだめです。萬屋錦之介の子連れ狼や中村梅之助の遠山の金さんも見たいです。
プロ野球もみなくなってしまいましたが、日本シリーズ進出をかけての決勝戦は見ごたえがあったようですね。その時間は帰宅していましたが、TVは途中で消してしまったのでちょっともったいなかったです。
乗鞍のときは、若いときに訪れた山々をみてとても懐かしかったです。でもいまは登山よりも自転車をこぐほうが自分にとっては楽しいですね。
Commented by ランブリンマン at 2024-10-26 18:06
こんばんは。
ミーアンドボビーマギーは先月お亡くなりになったクリスクリストファーソンの作曲ですね。
原曲は淡々としたカントリー調ですがジャニスは素晴らしい歌声で原曲の良さを引き出しています。
私は田舎道を気分良く走っているとこの曲が鼻歌で出てきます。
「自由というのは何も失うものをもたないこと」
家族や欲望など失うと困るものも多い私ですが、せめて自転車で走っている時はかりそめの自由を感じていたいのです。(ベンツは欲しくありません)

クリスクリストファーソンは俳優としても活躍していて、子供の頃映画館でサムペキンパー監督のコンボイを見ています。主演のクリストファーソンは権力に立ち向かうアウトローなトラック運転手を演じていました。
でも記憶に残っているのはペキンパー得意のスローモーション駆使したアクションシーンと悪徳警官を演じたぎょろりとした目のアーネストボーグナインでした。

そしてジャニスを聞くと音楽の死んだ日を歌ったドンマクレーンのアメリカンパイを聴きたくなります。
若くして死んでいった歌手の鎮魂歌に聞こえるから。

ブルースを歌う女の子に会った
何か良いニュースはないかと尋ねたが
彼女はただ笑みを浮かべ 去って行った

この一節はジャニスの事を歌ったと言われています。
https://youtu.be/ngDJIjbAvz4
Commented by paparouh at 2024-10-27 11:43
> ランブリンマンさん
こんにちは。そうでしたね。といいますか、クリスクリストファーソンという方は、ピーターバラカン氏の放送を聞いて、確か車中でランブリンマンさんのお話を聞いて覚えたくらいなので詳しいことは存じあげないのです。しかし「自由というのは何も失うものを持たないこと」というのはたいへん難しいことですが本質的なことだと感じますね。それ以外の歌詞もみてみたいので、ジャニスジョプリンのCDを探してみてみたいと思います。ところでわたしもベンツは要りませんね。ましてや運転不要の自動車とか空飛ぶクルマとかなんてみたくもありません。危ない、それ以前につまらない。
映画についても、アマゾンプライムもあってランブリンマンさんのほうが断然詳しそうですね。その映画もサブスクで見れるのでしょうか。運転アクションの映画だとスピルバーグ監督の「激突」と、「スピード」がおもしろかったですね。最近サブスクではじめて「マッドマックス」を見たけど、これも虚無的でおもしろかったです。あれと北斗の拳とどちらが先なのかと思いました。
ネットでみるとジャニスは1943年生まれ、生きていれば80歳を超えるくらいの年齢だから、あれだけの才能があるのに若いときに亡くなったのは惜しまれることですね。
by paparouh | 2024-10-21 22:09 | 東京地方 | Comments(4)

サイクリングのことを記録していきます。


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