1.コース
姉ヶ崎-丹原林道-音信山林道-万田野林道-大福山林道-天津林道-天津-鴨川-嶺岡林道-安房勝山-金谷港 108.4キロ
(ルートラボ)https://yahoo.jp/apqmuE
2.実施日:2019年1月13日(日)晴れ
3.同行者:Tさん
4.日記
Tさん主催の房総半島ツアーに同行させていただきました。快晴と真冬だが温かい房総の気温に恵まれ、楽しく充実した一日を過ごすことができました。
組立てようとして、後ろ泥除けステーをフレームにつなぐ蝶螺子を失くしていることに気が付き途方に暮れました。始発駅の輪行作業で、乗り遅れぬよう焦り気味に作業したことから、フレームに残置した螺子を締めることを忘れ、どこかで緩んで脱落したようです。せっかく楽しみにしていたツアーがふいになるのかと意気消沈して、わたしよりも遅く到着したTさんに相談すると、フロントバッグの中の工具袋から、4ミリのナットを見つけてくださり、うまく嵌めることができて助かりました。ありがとうございました。 するうち、駅前交番の60代と思しきおまわりさん(あるいは、交通指導員の方?)が、ランドナーが懐かしいらしく、声をかけてきました。ご自身も3万円ほどのマウンテンバイクで通勤しているが、この前は50万するロードに乗った若者がいたといわれます。Tさんが、あまり値段の安い自転車だと乗車中に破損して怪我をする可能性があると注意喚起されましたが、BS製とのことなのでその心配はなさそうです。角のコンビニで行動食を買い出し、コーヒーなど飲んでから8時30分頃徐に出発しました。
12月はひとりで出かけましたが、今日はふたり。万田野まであれこれ話しながら漕ぐことができたのは、このコースは車が少なく、信号もなく、今日は快晴で午前中はツクシも生えていようかとの心地よい陽気を感じたからです。わたしは見つけることができませんでしたが、Tさんは蝶が飛んでいるのを見つけたよう。「あっ、ちょうちょだ」といわれた方向を見ても、昆虫に興味がある人には見えてもさほど興味がない人には見えません。正月に神社めぐりをされたときの大田区の様子を伺いました。しかしリードするTさんのスピードが速く耳に風を受けることから、声が正確に聞こえませんが、おおむね、下町もあり古くからの住宅街もありまた邸宅街もあるということ、新しくつくられた町よりも古い街のほうが、閉店したアイスクリーム屋さんを残念に思う張り紙があるといった人情が感じられること、蒲田は餃子が有名でこの前行かれたところは羽根付餃子も名店のひとつ、自転車のお仲間のどなたかから紹介された店であること、区画整理するよりも早く神社が立地していることから、境内を道路が横切っている様子が印象的なことなどについて、会話したようです。結局「大田区は広い」というのが共通の結論でしょう。阿武隈のことも話しました。今日のような田舎のサイクリングは山里や自然の風景が続いて、自ずと雰囲気も変化して飽きがこないものですが、都心は何らかのテーマを設けないと続かないということも共感できます。信号で停まってばかりですしね。その点、今日のコースは、林道に入ってから信号は皆無、アップダウンが多いといっても露骨な急坂は少なく、前半は杉林のなか朝露にしっとりと濡れた落ち着いた小道を、後半は低いながらも眺望の効く尾根筋から木々の隙間から遠くまで続く房総の森を見ながら、絶景とか派手な要素はなくとも、辻々の佇まい、切通しに射し込む午前の柔らかな木漏れ日、ときどき不意に現れる民家の庭先になっているたわわな果実や道祖神など見ながら、自転車で進むのに丁度よいスピードを保ちつつ、おしゃべりをしながら気持ちのよい風を受けて進むのが楽しい。そんな風に進行して、いつもの休憩場所である万田野に10時9分到着。自販機とコーヒー好きのTさんはいつものようにコーヒーを、燃費の悪いわたしは早くもおにぎりひとつ食べてひと心地つけました。向かいの民家の犬は今日も吠えませんがもういなくなったのだろうか。

ここから、大福山方面に向けて、細かなアップダウンを繰り返しつつ上がり基調が続きます。カーブを曲るごとにわずかに変わる気配を楽しみつつ、ここでは人工知能のことが話題になりました。それは、10年前のパソコン通信から今日のインターネット社会への進展がはたして想像できたのか、そのうえで10年後はどうなっているのであろうかということが話題になったからです。コンピュータのデータ処理能力がさらに高まり、人口知能においてこれからどんどん認識のパターンのデータが蓄積されると、人手不足のなか一定の法則性のある仕事はロボットに取って変わられることになるのだろうか。人はそれまでの経験から、相手の顔色だとか話ぶりの調子だとか文脈だとか感情の機微だとか忖度とか、直観に基づく判断を行うが、AIが10年後はそんな領域まで学習して対応するようになると、人工知能に人間が使われる社会が生まれるというのもありえるのではないか。いまでも多くの人の脳みそはスマホのグーグルに外だしされているし。そんなアホな世界にならないよう科学者と技術者は人間による技術の制御ということをよく考えて開発を進めてほしいが、ゲノム編集とか本質は農業や挿し木と変わらないといいつつも、鯛が大きくなる程度ならまだしも遺伝子配列の操作が人間に及んだとのニュースを聞くにつけ、そんな領域まで明るみに晒して、いつか悪いやつが出てきて取返しのつかないしっぺ返しを受けるのではないだろうか。人は自然についてもっと謙虚に接すべきではないかと思うのであって、西行とか清少納言とか兼好法師とか、自然と一体となり自然の一部となって季節のうつろいと調和して生きることに思索を巡らせた日本人の偉大な伝統を思いだすべきである・・・。

そんなことを半ば話しつつ、半ば思いながら漕いだのでした。自然のなかのサイクリングは、思索するのも、また思索から解放されるのも、最適な場所であります。Tさんは、これだけ普及したスマホなのに、リチウム電池の持ちが一日で尽きるのはおかしいといわれる。確かに、3日と長持ちする蓄電池を開発すれば大儲けできそう、航空機も電池で飛ばす時代、技術的に簡単なようだが汎用品は難しいのでしょうか。Tさんのお友達に、ビッグビジネスにつながる発見をされた、IoTに長けている方がいらっしゃるという。

さて、ショベルカーで林道の地道の整備をしていましたが、近づいてくる自転車を見て、路上に積んだ土砂を丁寧に除けてくださいました。礼をいって脇を通り抜けた。そこからずんずん下って、途中の厠休憩の最中にTさんに抜かれました。これもいつもの休憩場所であるお化粧品のお店のところに遅れて到着(11時21分)、しばらく憩いのひとときを過ごして2個目のおにぎりを食べました。少し坂を上がり下がりしたところで、幹線と別れて再び林道に入ります。ここで西武鉄道の話を伺うはずでしたが、ペース配分の違いから、別れ別れになってしまいました。途中にある山奥の民家を横目で見ながら、うんうんと尾根の林道まで上がります。上がりついたところから、先のお寺までわずか数キロ、ここから麻綿原高原までの1~1.5車線はとくに好きな道。大学の演習林でもある深い森の先には太平洋が控えていることを予感させる景色。高い松やモミの木やツガなどあり深山幽谷の趣はなくても、自然の豊かさを感じさせる。道は森のなかをうねうねと、上っては少し下りしつつ進行していく。そうして最後の上がりをつめると、唐突に切通しとなって、妙法生寺の突端に到達する。そこから少し上ったところの丘に日蓮さんが海を見ている。ここは紫陽花園やパワースポットもあり結構商売っ気のある寺ではあります。地べたに座って一連のストレッチをしつつTさんの到着を待ちました。ここは風の通り抜け場所のよう、これまで流した汗が冷えて今日初めて寒さを感じました。

ふたり揃ったところで太平洋に向けて下り始めました。雨上がりのせいか、これまでも、ここからも、今日は日陰の路上には緑色の苔が生えているところが多く、スリップしないようリーンインして車体を倒さないようにしながら下りました。ここは南国らしくシダ科の植物が多く生えています。ここでも先行したので、途中で待機して到着を待ちましたが、なかなか来ないので道を間違えたかと不安になりました。合流してから、外房線の踏切を渡り、天津から鴨川まで、例によって海っ辺や集落のなかの細道を拾って移動します。天津港では聞こえなかった潮騒が、その先の湾のところでざぶーん、ざぶーんといって耳新しく聞こえます。青空を背景にした今日の太平洋は思いのほか青く明るく、冬の色ではありません。13時10分頃、鴨川のコンビニ(ローソン鴨川広場店)到着。Tさんはがっつりラーメンを、わたしは残りおにぎりを、カレーヌードルと揚げた鶏肉をおかずにして食べましたが、足らずカレーパンを追加で求めました。
13時30分頃、コンビニ発。南国らしいパームツリーの類の木が植えられている湾沿いを移動しました。海にサーファーが浮かんでいます。鴨川太海のとりつきから、嶺岡林道に進みます。ここでも前のチェーンホイールはミドルに落とさず漕ぎ続けました。ここは上へ上へと一直線の坂が続くので視覚的はに滅入るが、負けることなく進むと、やがて坂上がりと水平移動が交互に続くようになる。水平移動のときに太腿を休めるようにして、そんな上がりを繰り返しつつ、上のパラグライダー場到着は14時25分。道を逸れた場所で用を足してから、カメラ撮影などしつつ、まだ当分いらっしゃらないだろうと思っているとすぐに上がって来ました。Tさんは休むことなく、ヒルクライムを継続しましたが、そこから先はしばしば先行され追いつくのに苦労する場面が何度もありました。伺うと、ご自宅にエアロバイクを据えられて、早起きをしてトレーニングを継続されているとのことでした。関連して、映画の話題。黒沢明「隠し砦の三悪人」や「用心棒」、「椿三十郎」が特に気に入ったとおっしゃられます。わたしは「天国と地獄」(と「虎の尾を踏む男達」の富樫と弁慶のミュージカル勧進帳場面)が心に残っていると話すと、窓から身代金の鞄を投げたのは鉄道好きの人に人気の「特急こだま」であると教えていただく。鉄道といえば、ブルートレインのことも話題になりました。かつては、山陰の日本海方面や、東北の坂田や鶴岡方面に行く夜汽車もあったとのこと。そんな列車が走っていると、日帰りサイクリングのレパートリーも広がるのになあ。そういえば、さきほど聞きそびれた西武線のことを訪ねると、朝はうまい方法で通勤混雑を回避されておられるよう。また、寒い朝の目の覚め方にもコツがあるようです。ゴールデンウイークの計画。またまたそんなたわいもないことをおしゃべりしながら何度も坂を上がり下りしました。そうして坂を上ると、いつのまにか高さを稼いで、単独行のときよりも苦労が少なくて済みます。愛宕山のきつい上りをこなし、北斜面を横切り、途中の酪農牧場の見える国道のところの自販機で休憩、そのあとの林道の坂はきつい箇所もあるが距離は短く、左程苦労しなくても通りすぎてしまいます。この時期の鋸南らしく、前回と比べ盛りを迎えている水仙畑と、日が沈む夕暮れの風景はいまが一番美しいという岩井の海岸を遠目に見ながら、最後の下りにつきました。あっという間に下りて、最後まで細道をつないで、安房勝山駅でTさんとお別れ。そこから5キロほど移動して浜金谷港到着16時48分。17時20分発に向けて余裕でパッキングしている最中、ナットをくださったことのお礼をいいそびれたことに気が付きました。


東京湾フェリーはいいですね。この時間の乗客の座席はほの暗くロマンチックです。西の海岸線が夕焼けで赤く燃え上がっている。船内は暖房が効いて温く、温かいラテを飲みながらカウチポテトしつつ、心地よい揺れと疲労感に浸りながらリラックスしてTVの大相撲を楽しみました。初日だというのに大関は悉く破れ、横綱ふたりは勝って、最後稀勢の里の土俵のときに久里浜港接岸のアナウンスがあったので見ないで移動しました(「バス輪」後、京急に乗ってからスマホで結果を知りました)。始発駅で、輪行作業をした場所を探しましたが遺失物を見つけることができません。このところ恒例となっている、山田うどんで生姜焼き定食+コロッケを食べてから、帰宅しましたが、ツアーの最中どこかで動物の落し物を踏んだようでその始末に苦労しました。部屋に入れる前に気がついてよかったです。明日は娘の成人式。でもわたしは仕事なんです。


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追記。10年後のことに関して、諸方面での中国の勢力拡大というのはもう避けられそうもないだろう。中国人も日本人同様さまざまだが、エリート層の猛勉強ぶりは相当なよう、このままだとあと10年で、日本企業でも経営幹部層は中国人などの外国人、従業員は日本人というのも普通になっているのではないか。世界の人たちに好かれ、きらりと光る日本と日本人の姿になるためにはどうすればよいのか、いまの若い人たちはよく考えて勉強してほしいと思う。大国に伍していくのではなく、また近視眼的な排外主義や新自由主義による道ではなく、民主主義の擁護と徹底、多用性の尊重、内外の住民・市民の交流が基とするまちづくり・国づくりにあるのではないだろうか。だが、辺野古や重要法案の国会採決や忖度行政や報道の横行、ヘイトクライムなど昨今の政治や社会の動向を見ると、大陸と島国の彼我の体制の違いを越えて、同じ権威主義国家の方向に収れんしているように見えることがある。一方で、とりわけ若い人の間で個人の違い・価値観をお互い尊重しようよという動きも広がっているように感じます。ネットでヘイトの言説を流しているのは実は中高年が多いというが、憎しみからは、憎しみ以外何も生れない。若者はメディアリテラシーを身につけて、地球市民としてそういうのを乗り越えて未来を切り拓いていってほしい。まずわれわれ50代半ばにとって切実なのは、いつまで自転車を楽しめる体力を保持できるか、病気にかからないかということであろう。そのためにも1日置き筋トレ・柔軟の交代実施と、昨年秋頃からはじめた週2日禁酒は継続したい。